愛好者人口

現在、日本の武術太極拳の愛好者人口は約100万人と言われている。年齢層は20歳代から70歳代 以上と幅広く文字通り、老若男女のスポーツと言える。中でも40~60歳代が最も多く、男女比では、女性が愛好者の6~7割で、男性より多い傾向を示している。


太極拳の特徴

太極拳は、本来「柔よく剛を制し」、「小さな力で大きな力に克つ」ために、相手の力の大きさと方向性を察知し、柔軟な動きで相手の力を外し、自分の力を最も合理的に使う高度な技法である。太極拳の練習は、心身をリラツクスさせて意識で体の動きをコントロールし、呼吸と組み合わせてゆっくり、柔らかく行う。年配者や虚弱体質の人でも、体力に合わせて参加することができる。また慢性病などの治癒効果が著しいので、老若男女の幅広い年齢層が参加できる健康法(生涯スポーツ)として広がってきた。

特徴を列記すると

 1)呼吸を重視した運動である。

 2)筋肉の隅々にまで意識が行き渡る運動である。

 3)気持ちのいい運動である。

 4)ゆっくりした運動である。

 5)等速性の運動である。

 6)からだの左右均等運動である。

 7)全身運動である。

 8)強度的には軽運動であるが、質的には技術性が高い運動である。

 9)体力、技術に応じた太極拳ができる。

 10)誰でも、どこでも、いつでも手軽にできる生涯スポーツである。

健康上の効用

 太極拳は、頭脳労働をする人の神経的緊張を開放するのに効果的であり、また、全身をバランス良く動かすので、肉体労働をする人が、偏った肉体使用をすることの弊害(労働個癖)を除き、身体機能のバランスを回復するのに役立つ。

健康上の効用としては、次のことが挙げられる。

 1)筋肉への効果:ゆっくりした意識的全身運動は、全身の筋繊維(特に下半身)を非常に効率良く

 2)大脳への効果:太極拳の動作を支配するのは、大脳皮質の第4視野(運動野)で、意識を介した

 3)内臓への効果:太極拳中は、身体の表部(筋肉)に血液は集まっているが、終了すると反対に

 4)精神面の効果:太極拳を行うと、脳波にアルファー波が発生する。またランニングハイ (走り酔い)と同じようなメカニズムで、太極拳中にエンドルフン(体内麻薬:無害)が分泌され「気持ち良さ」を作り出し、愛好者の精神面、情緒面に良好な効果をもたらす。

 5)減量の効果 :太極拳のゆっくりした動作で、脳内にセロトリンという食欲を押さえる物質が作られる。太極拳をはじめる前には強い空腹感があっても、練習の後は空腹感が消失していることは、太極拳愛好者が等しく経験していることである。

  

 6)脊柱及び軟部

  組織への効果:太極拳の上下、前後、左右に無理なく動く全身運動は、現代人に 最も欠落している背骨の運動として非常に効果的である。

 7)自己治癒能力への効果:太極拳の運動によって、心肺昨機能が増進し、血液性状が良好に保たれる結果自己防衛免疫能力も増え、病気にかかりにくく、またかかっても回復 が早い体質に 改善される。

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